固体電子物性論
千葉大学理学部物理学科 集中講義 物性物理学特論 (9/15-18)
種々の固体が示す物性を理解する方法を大別しますと、固体物理学的方法と固体化学的方法があります。
固体物理学では多くの場合、固体を構成する元素種のことを忘れて、固体中の電子やイオンの状態・運動を記述する基礎方程式から出発して、固体の性質を理解しようと試みます。
電子ガスの理論、超伝導のBCS理論、相転移のLandau理論などでは、種々の固体の差異は、電子密度、結合定数、転移温度などのパラメーターの違いとして現れます。
固体化学では、固体がどのような元素で構成され、どのような化学結合を形成しているのか、という問いを出発点として、固体の性質を理解することを目指します。
種々の固体のバンド構造、光学スペクトルなどを解釈するには、固体を構成する元素の原子軌道の種類とそれらの間の化学結合を考慮した理論が必要です。
固体の物性をより深く理解するためには、この両方のアプローチから考察することが大切です。
本講義では、固体中の多様で複雑な電子の振る舞いを理解することを目的として、以下のような項目についてできるだけ平易に解説します。
レジュメ (Resume) (以下の日程は目安です。)
1.Introduction:原子から固体へ (15日午前)
2.結晶構造とタイリング、格子と逆格子 (15日午後1)
3.遍歴する電子(バンド理論) (15日午後2)
4.局在した電子(配位子場理論) (16日午前)
5.ヤン・テラー効果、バンド・ヤン・テラー効果 (17日午後1)
6.揺らぎと線形応答理論 (16日午後2)
7.相転移と平均場近似 (17日午前)
8.交換相互作用とスピン・軌道秩序 (17日午後1)
9.電子間クーロン相互作用と金属絶縁体転移(モット転移) (17日午後2)
10.電子格子相互作用と金属絶縁体転移(パイエルス転移) (18日午前)
11.超伝導(BCS理論) (18 日午後1)
講義について
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